ポンポン船が水を張ったバケツの中をクルクル回っている。小さな船の真ん中に立っているろうそくの灯火に水面が照らされて幻想的な風景。
ポンポン船といえば「崖の上のポニョ」でそうすけが持っていた玩具。「ラッパのように」と名付けられた作品は、フォルムの洗練されていて玩具という感じでもないし、ポニョの上映前に発表されたものなので関係はないけれど、火、水、風の力を総じて動くこの仕組み、原始的でどこか少年のロマンが感じられます。
この作品を展覧会で観たのはもう10年前なのだけれど、何でかここ最近また気になりだしました。
そして、わたしの中で何度かやってくるアーユルヴェーダへの関心。
初めは息子出産後、分厚い専門書に挑んだ経験あり。「面白いな〜。」と思ったけれど実践は後回し。時々辞書のようにパラパラっとめくってショウガ油を作ってみたりしたけれど、まだ自分がどんな体質かさえ理解できませんでした。その後ヨガ友達がアーユルヴェーダの勉強を初め、色々教えてもらったりしましたが、続けたことと言えば白湯飲みくらいです。
沖ヨガや野口整体、陰陽食などを様々な角度から体のことを学び、うすうす「わたしはきっとヴァーダとカパ体質だなあ。」と分かるようになった頃、服部みれいさんの「オージャスのひみつ/中央公論新社」という本に出会いました。アーユルヴェーダの知識を変わりやすく説き、服部みれいさん自身が生活の中で実践していったみずみずしい体験談は、同世代の女性達に指示されています。
タイトルにもなっている「オージャス」というのは、インドの伝承医学の概念で、みんなだれしも生まれつき持っているもの。食べものや生活の仕方、心のあり方によって「オージャス」は増えたり減ったりするそう。「オージャス」が増えると、抵抗力が強くなったり、人がとして輝きが増すそうです。
実は、この「オージャス」という言葉は、わたしが初めに読んだ専門書にも書かれていたのですが、膨大な内容の中に埋もれていてピックアップすることは難しかったです。実際に記述は数行だったと思います。両方とも同じ知恵を伝えているのだけれど「切り口が違うだけでこうも理解しやすくなるものなのね!」と感心しました。もちろん、概要を理解した上で専門書を読めば、そこから学べることはたくさんあるのですが。
「オージャス」は、アーユルヴェーダを実践したり、学んだりしていなくてもだれもが経験したことがある至福感ではないでしょうか。できたてのご飯を食べたとき、正直であること、からだに老廃物が溜まっていないときの感触。。。それを目指すための知恵がアーユルヴェーダにはたくさんある、そういう順番で見ていくとすんなり理解できたのです。
話は戻りますが、アーユルヴェーダでは人間の体質や性格は3つのドーシャ【ヴァーダ(風)、ピッタ(火)、カパ(水)】のバランスで決まる、と言われています。また自然界もこの3つの要素によって成り立っています。
実は、ヴァーダ(風)、ピッタ(火)、カパ(水)すべての要素が「ラッパのように」には在るんです。すべての要素が寄りかかりながら、どれかが欠けてしまったら成り立たない状況。
アーユルヴェーダとポンポン船の作品、自分の中で何度も波打つように深まっていった経験が結びついたとき、じんわりと幸せな気持ちになりました。
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